続編と言うよりは外伝、新作と言うよりは派生、ファンディスクと言うには自律しすぎなエロゲの捉え方


元の作品からの派生作品……ファンディスク・続編・リメイク・完全版……などありますが、『スピンオフ』というのも加えてもいいかもしれないと思いました。というのも、そのどれにも当て嵌らなそうな作品はどう捉えればいいのかという問題(?)があります。世界観や設定やキャラクターなどの前提を共通するという元作品に寄り添う所がある点で完全な新作とは言い難いし、とはいえ続編というよりは外伝や番外編的な作りだし、ファンディスクというほどの小品感は無いし……という作品、つまり


TH2AD商法はギャルゲ界の主流となるか?
http://d.hatena.ne.jp/rikio0505/20080706/1215288862

 さらに「TH2AD」では、TH2の舞台や設定、キャラクターに音楽、システムなどを流用しながら、メインヒロインのシナリオは完全新作にして、アペンドのような、でもボリュームとしては新作と変わらないものになっているわけです。ここがポイントです。
この『ToHeart2 Another Days』みたいな作品は、ファンディスクと捉えるのも、続編と捉えるのも、しっくりこないのではないかと。


広義で言えばファンディスクなんですけど、ファンディスクに対する印象(ファンディスクの主流)――古くはリーフの『さおりん』『初音』『猪名川』『アルルゥ』とか、ねこねこソフトの『ねこねこファンディスク』、F&Cの『ぴあきゃろTOYBOX』、あるいはとらいあんぐるハートの『おもちゃ箱』シリーズなどなどの、ミニシナリオやミニゲーム、あるいはCGやデスクトップアクセサリーなどが盛り合わせされているもの――から、『TH2AD』は大きく外れています。ファンディスクと聞くと、ああいったミニシナリオ集などの小品を思い浮かべてしまうのですが、『TH2AD』はちょっと色が違います。

かといって完全新作とは言えません。世界観や設定、キャラクターなどの、プレイする際の「前提」となる部分が元の作品に依存していますから。


元の作品に依存している点でファンディスクのようでありながらも、ボリューム的には新作と変わらないレベルである。何よりファンディスクと違って、「一己の作品として受容可能・一己の作品として正当に評価可能」。元作品に対する寄り添いが小さいのです。
ベタですけど、「スピンオフ」と考えるのが良いのではないかなぁと思います。スピンオフという言葉を、拡大解釈してますけど。イメージ的には、ファイナルファンタジーで言う「FFX-2」とか「レヴァナントウイング」といった具合。
続編と言うよりは外伝、新作と言うよりは派生、ファンディスクと言うには自律しすぎ。


個人的には、ToHeart2の外伝と言える前述『TH2AD』、CLANNADの派生と言える『智代アフター』とか、SHUFFLE!の派生と言える『Tick! Tack!』『Really? Really!』などが、”世界観・設定・キャラクターが元作品に寄り添いながらもファンディスクではない”という点で、「スピンオフ」と呼べるんじゃないかなと思います。
や、ファンディスクとスピンオフとの境界は随分と不明瞭ですけど、取りあえず公式には一言もファンディスクとは記されていないですし、特に『Tick! Tack!』の、”当初はファンディスクにしようとしたけどボリュームが大きかったので一つの作品にした”という――つまりボリューム、内容、パッケージング性にこそファンディスクか否かの境が表れるという点では、製作者側はともかくプレイヤー側としては、曖昧の余地は残らざるを得ないと思われます。


売り上げ的には、上記の作品は、売り上げが読めるとは言えどれも元作品より下がっていますし、そもそも人気作でなければスピンオフしても見向きもされないでしょうし、費用対効果を考えるとファンディスクとどちらが旨味があるのか微妙なところですし、つまりスピンオフ成功にはある程度の制限が枷られていますので、ギャルゲの主流になることは無いと思うのですが、ファンディスクと同じく、ある一定数以上のリリースはあるのではないかと考えられます。