次代のギャルゲーハードは、今までと別の意味でPS2、かも


■次のギャルゲーハードは存在しない可能性
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こちらの記事を読んで。ギャルゲーハードについて考えてみました。


まず『ギャルゲーハード』という言葉。明確な定義は成されていないと思いますが、これまでに使われている文脈から、基本的には「ギャルゲーがたくさん出るハード」という意味で使われていると思われます(リンク先の記事がそういう意味で使ってる、ではなく、大抵どこでもそういったニュアンスで使われているでしょう)。

細かく見ると、現在の所これは二通りに分けられるでしょう。

ひとつは「コンシューマギャルゲーの大部分がリリースされてるハード」。最近で言うPS2や、昔のPCエンジンなどがそれに当て嵌まるでしょう。これは、そのハードが「ギャルゲーのハード」という意味ではなく、ギャルゲーをやるにはそのハードがベストすぎるから、必然的に『ギャルゲーハード』となる場合です。
もうひとつは、「そのハードでリリースされているゲームのかなりの部分がギャルゲー」。SS・DCの末期がそれにあたります。そのハードならコンシューマギャルゲーの殆どがプレイできるという意味ではなく、ソフトの割合においてギャルゲーが非常に大きいから、必然的に『ギャルゲーハード』となる場合。


現在までに『ギャルゲーハード』と呼ばれたものを分類すると、上の二つに分けられると思います。
そこをもう少し細かく考えて見ます。

「コンシューマギャルゲーの大部分がリリースされてるハード」

まず「コンシューマギャルゲーの大部分がリリースされてるハード」。これは過去、PS2PCエンジンに当て嵌まるのですが、その意味合いは大きく異なります。

まず最低条件として、PS2PCエンジン・SS・DC全てに言えることですが、『ギャルゲーハード』と呼ばれるようなハードには、その当時の「ギャルゲーを作れるスペック」が必要であるでしょう。市場規模・普及率が小さいPCエンジンが『ギャルゲーハード』になった一番の理由はここだと考えられます。スペックが足りなければスペックに合わせるアイデア出せば良い、というのはゲーム製作とスペックにおける考え方かと思いますが、しかしギャルゲーの場合は移植(PCからの移植)作品が多いので、それを問題なく成し得るレベルでないと多量のリリースは難しい(そもそも「移植すること」「作ること」自体が難しい)のではないか、と推測できます。
もし圧倒的に普及していて寡占的に市場規模の大きなハードがあって、そのハードがギャルゲーの要求スペックに全然達していなく、他ハードがたとえ大して普及してなく市場規模が小さくてもその要件を満たせるのなら、そちらのハードでリリースされる可能性が高いとも考えられます。SFCに比べ圧倒的に市場規模が小さいPCエンジンが『ギャルゲーハード』だった理由は、そのようなことであると自分は思っています。
(コンシューマオリジナルギャルゲーが、ごく限られたタイトルを除き殆ど売れないという現状を鑑みると、これからにおいて、この点は無視できないのではないかと考えられます)


PS2が『ギャルゲーハード』だったのは(であるのは)、その条件を満たし、さらに市場規模が途轍もなく大きかったため、であるでしょう。「アイドルマスター」のようなスペック的に移植が難しい物はともかく、普通のギャルゲーを、わざわざPS2以外でリリースする動機があまりなかった。

「そのハードでリリースされているゲームのかなりの部分がギャルゲー」

もう一つの『ギャルゲーハード』の条件、「そのハードでリリースされているゲームのかなりの部分がギャルゲー」。SS末期・DC末期がその条件に当て嵌まります。ただ、これは、「そのハードを持っていればコンシューマギャルゲーを網羅できる」というわけでもなく、「そのハードを持っていれば有名どころは全部プレイできる」というわけでもありません。

全タイトル数と、ギャルゲーの本数
セガサターン
1999年:18タイトル中8本
2000年:3タイトル中2本
ドリームキャスト
2002年:49タイトル中21本
2003年:27タイトル中24本
2004年:17タイトル中12本
そのハードにおける割合が異常に高いくらいにギャルゲーがリリースされています。が、実は、本数だけで言うなら同時期のPS・PS2の方が圧倒的に多いのです。

全タイトル数と、ギャルゲーの本数
プレイステーション
1999年:630タイトル中32本
プレイステーション2
2003年:447タイトル中38本
両機種同時発売や、SSからPS、DCからPS2への移植作も多く(特にDCギャルゲーの3〜4割は、PS2とタイトルが被っています)、その上PS・PS2だけの人気ギャルゲー(「ときメモ2・3」や「TLS」、「トゥハート」など)などもあったりして、『ギャルゲーハード』と言いつつも、「それさえあればコンシューマギャルゲーは完璧」では全然なかったりするのです。

つまり、単純に、「そのハードでリリースされているゲームのかなりの部分がギャルゲー」であった。

次代のギャルゲーハードは……

それを踏まえて「次の『ギャルゲーハード』」(例えギャルゲー自体が衰退してても当面はPCエンジンの頃*1のように細々と生き残るのではないか、と考えて(そもそもあの頃ギャルゲーという言葉自体が一般的じゃなかったし))を考えてみましょう。


まず「スペック」の話。
アイドルマスター」「タイムリープ」のような高スペックを要求するゲームもありますが、あくまで求められるのは「主流のギャルゲー」に耐えられる程度のスペックなので、DS以外は大きな問題なくクリアできていると言えるでしょう。DSに関しては、ROMカートリッジ容量(ボイスがあんま入れられない)と画質の点から、これまでと同じ様な意味での『ギャルゲーハード』となるのは難しいと考えられます。
ただし「これまでと違うギャルゲー」という意味では考えられて、例えば「魔女神判」とか「もえスタ」といった、DSオリジナル・むしろDSでしか出せないようなゲームですね、そういったタイトルは増えていっています。ただ、従来どおりのノベルゲーやシミュレーションはDSより他ハードの方が明らかに大いにで、DSでギャルゲーが出ないことはありませんが、『ギャルゲーハード』になる、という確率はあまり高くないと考えられます。


次にそのハードの市場規模・普及率の話。これは多いほうが良い・少ないとダメ、という話ではなく(勿論あまりに少なすぎるとダメでしょうが)、PS2くらい大きいと必然的にギャルゲーハードになる、という話なのですが。上の条件でDSを除外すると、現時点では何とも言いがたい状況でしょう(DSを含めても、それが寡占とは言いがたいですし)。


続いて、「そのハードでリリースされているゲームのかなりの部分がギャルゲー」という要件。
現在、サターン・ドリキャスのように、”全体の半分近くがギャルゲー”といったハードは存在しません。ですが、

総リリースタイトル数と、ギャルゲー数と、ギャルゲーの割合
■2007年
PS2:241タイトル中40本・16.5%
PSP:100タイトル中9本・9%
DS:426タイトル中4本・0.9%
Wii:101タイトル中0本・0%
PS3:53タイトル中0本・0%
XBOX360:65タイトル中1本・1.5%


■2008年(8月末まで)
PS2:96タイトル中26本・27%
PSP:60タイトル中7本・11%
DS:286タイトル中7本・2.4%
Wii:67タイトル中1本・1.4%
PS3:42タイトル中1本・2.3%
XBOX360:45タイトル中2本・4.4%

実は、PS2タイトルのギャルゲー率が、目覚しいくらいに上がっているのです。つか、全体の約3割がギャルゲー。

このペースで推移すると過程すると、SS・DCと同じ「そのハードでリリースされているゲームのかなりの部分がギャルゲー」という条件のギャルゲーハードに、来年・再来年あたりのPS2は意外と当て嵌まってしまうかもしれません。


つまり、『次代のギャルゲーハードはPS2』ではないかと……や、今もPS2だから一緒なんですけど、意味合いが「コンシューマギャルゲーの大部分がリリースされてるハード」から「そのハードでリリースされているゲームのかなりの部分がギャルゲー」に変わる・あるいはその両方になる可能性。



『その次』、となると、現時点では推測しようもありませんが、興味深いのはPSPCLANNAD」とDS「ひぐらしのなく頃に絆・第1巻」の売り上げ。
2008年に発売されたPSPCLANNAD」が(アニメ版の効果があったとしても)2006年に発売されたPS2CLANNAD」とほぼ同じ売り上げ(約4万本)。PS2ひぐらしのなく頃に祭」の売り上げが約11万本で、ファンですら一歩引いてしまう4タイトル分割(1巻〜4巻で完結)を行ってる「ひぐらしのなく頃に絆・第1巻」の売り上げが(映画による話題などあったとしても)約6万本。
どちらも、ほぼ同内容、むしろ音声の分悪いぐらいの移植の割には、思ったより落ちていない――CLANNADに至っては大健闘だと思うんですよね。これはある意味ユーザーの分散――動機は、PS2を持ってない、あるいは、移動中にゲームをしたい・家の中でも携帯機でゲームをしたい(TVがリビングにしかない実家暮らしの人とか)、とか、いろいろ考えられるんですが(&明言できないんですが)――を表している面でもあるのかなぁと思うと、『その次』のギャルゲーハードというのは、なかなか形になりづらいんじゃないかな、とか考えたりもします。

*1:ギャルゲーっぽいデジタルコミックアドベンチャーもギャルゲーと考える、くらいの勢いで、本項においては取り扱っています