朱鷺戸沙耶の髪型について、あるいは「ボリュームある」「もっさりした」「長い」髪型について


以下、「リトルバスターズ!エクスタシー」の朱鷺戸沙耶シナリオのネタバレをぼかしてるけどちょっと含んでるつうか示唆的なので、ご注意下さい





正直、この髪型――うしろから見た時の髪型、もう気になって仕方ありません。
気になって仕方ないので、勝手に理由を考えてみます。



二つの白い髪飾り。これは、僅かに出てくるとある描写からして、その頃の名残の品だということに気付くでしょう。やけに長くなっているのは、彼女なりの――イマジネーションだからでしょう。髪の長さも、そうかもしれない。想像だから――想像でしかないからこそ、こんなに歪に、ただ長いだけなのでしょう。
白の髪飾りと、黒の髪飾り。
両側に纏めた髪は白い飾りで、真ん中に垂らした残りは黒い飾りで纏めてある。全てを白で纏められず、一点、黒が混ざるというのは、彼女の、この世界における彼女の立ち位置を示唆しているのかもしれない。
二つに分かれた白の方向は、分岐の先。しかし、髪の毛の行き着く先はそこではない。真に行き着くところは――黒で束ねられた、その先なのだろう。(終わり)





これだけで終わるのもあまりにもナンなので、ちょっと沙耶のような、「ボリュームがある」「もっさりした」「長い髪」な髪型に関する一考察。


これは「動き」を表すのに、かなり適しているんじゃないかと考えます。


ご存知の通り、ギャルゲーの立ち絵は、基本的に動画ではなく静止画です。さらに、その絵のパターンも、数に限りがあります。そのような性質上、「動き」の表現は難しいです。
基本的には、テキストを支配的にして、絵はその補助であるのでしょう。そういうやり方で、「動き」を表現しているのでしょう。立ち絵が写実でないということはわれわれにとって大昔から共通のコードです。


しかし、このような、「ボリュームがある」「もっさりした」「長い髪」の髪型は、他に比べれば、動きを表しやすいのではないでしょうか。
それは髪が『大いに』動くからです。


テキストとグラフィックは、ある程度競合してしまいます。同じく視覚をシェアしているからですね。文章を読んでる時に絵は目に入りづらいし、絵を見ている時に文章を読むことは難しい。
テキストは視覚を長い間シェアしなければ認識できませんが、グラフィックは視覚を短時間シェアしただけで認識が可能です。つまり、グラフィックは瞬間視的に視て認識をすることができる。

その際に(瞬間視の際に)キモとなるのが、シルエットと差分。
全体のシルエット大きな変化があると、差分に大きな変化があると、「変わっている」――つまり、「動いている」ということが認識しやすくなる。

それが、こういった髪型の効果でもあるでしょう。
普通のショート、セミロングくらいだと、くるっと回ったりちょっと動いただけで、こんなぶわっと髪は広がらない。こんな風に、シルエットを大きく変えることなんてない。だけど、こんな「ボリュームがある」「もっさりした」「長い髪」ならば、ちょっと動いただけでも、髪がぶわっと広がり、シルエットの変化・通常時との差分の大きさが目に見えてしまう。とか、そんな話です。